航空身体検査に引っかかるオルソケラトロジー
●航空身体検査に引っかかるオルソケラトロジー
航空身体検査というのは、パイロットが航空業務を遂行するために行う検査です。
これは航空法という法律によって義務づけられているそうです。
ところで、当然パイロットは視力が重要な体の能力になりますから、オルソケラトロジーはどうなのでしょうか?
目を見ただけで、オルソケラトロジーを施術しているかどうかの判断ができるのか分かりません。
恐らく自己申告になると思われますが、当然そういった施術経験も申告義務がありそうです。
JALの航空身体検査では、オルソケラトロジーを試用している場合はNG、そして使用していた場合はその後6ヶ月を経過している必要があるのです。
昔は、手術などで視力回復をする技術はありませんでしたら、そういった決まりはなかったのでしょうが時代と共に内容が変わってきたようです。
ちなみに、オルソケラトロジーであれば6ヶ月経過すれば大丈夫ですが、レーシック手術をしてしまえば一生ダメです。
ところで、アメリカの航空法では、レーシックは無理のようですが、オルソケラトロジーはパスできるようです。
この日本とアメリカの差は何なのでしょうか?
パイロットというのは、国際線も飛ぶでしょうから法も国際標準にしてもらいたいところです。
また、レーシックはだめで、オルソケラトロジーは大丈夫というもの、レーシックの専門家から言わせるとフェアでないと言うかもしれません。
レーシックよりオルソケラトロジーにこだわる理由
●レーシックよりオルソケラトロジーにこだわる理由
今の日本では、レーシックの方が扱っている眼科は多いし、手術料金も安いし、視力が回復するまでの期間も短いのです。
それでもレーシックよりもオルソケラトロジーにこだわる人たちの理由は何なのでしょうか?
言うまでもなく、自らの角膜を削ってしまうことに対する不安です。
二度と元に戻らないのですからやはり気になります。
もちろん、元に戻ってしまうと近視も戻るので、二度と戻らないことに対しては問題ないという考えもあります。
ただ、それ以外で元に戻らないと眼の問題として何か発生する可能性に危惧を抱くわけです。
レーシック手術が始まってまだ、年数が浅いため若い頃にレーシック手術を受けてそのまま老人になって老衰でなくなった方はいません。
つまり、長期間においてレーシックをした人の経過観察というのは現在進行中なのです。
ある意味では、オルソケラトロジーでなくレーシックをすると人体実験の対象になるとも言えます。
もちろん、オルソケラトロジーにも同様な未知の部分があることは確かですが、決定的な違いが削ってしまわないことに対する安心感です。
眼は、均等な球形をしていてすべての外壁に対して均等に眼圧がかかっているはずです。
そして、角膜を削ることでこの均等な眼圧に変化が起きるとどうなるのでしょうか?
それが、じわじわ長期間にわたって続くとどうなるのでしょうか?
こういった不安を持つ人は、視力回復の方法としてオルソケラトロジーにこだわっているわけです。
オルソケラトロジーの進化形であるオサートは日本生まれ
●オルソケラトロジーの進化形であるオサートは日本生まれ
オルソケラトロジーというのは、アメリカ生まれの視力回復の医療技術です。
そのオルソケラトロジーを日本に持ち込んだのは三井石根さんという方です。
三井メディカルクリニックの院長をされている方です。
ちなみに、三井院長は「オサート/オルソK協会」の会長でもいらっしゃいます。
ところで、強度の近視には向かないオルソケラトロジーですが、これを強度近視にまで適用できるように拡張した技術がオサートといいます。
正式名称は、“オサート・オルソケラトロジー”(前眼部統合矯正療法)です。
このオサートは、三井院長の三井メディカルクリニックぐらいでしか治療してもらえないようです。
レーシックやオルソケラトロジーの方が圧倒的に有名で、オサートの知名度が低いのはこのためでしょう。
冷静に考えて見れば、強度近視であっても角膜を削らないで視力回復できるのであればどっちを選ぶでしょうか?
もちろん、金額の問題はありますが、角膜を削ったら一生そのままなのです。
多少の経済的な負担を強いてでも、削らない方法を選ぶほうが自然な感覚であるような気がします。
ちなみに、三井メディカルクリニックでのオサート治療は、一番高いコースであっても38万円です。
最新のレーザーを使ったレーシック手術ならこれに近い金額はすると思います。
ただ、オサートの難点は、強度近視であるにつれて視力が回復するまでの時間がかかることです。
大体、長くて6ヶ月ぐらいは見ておいたほうがいいようです。
ただ、徐々によくなっていくわけですからモチベーションの維持については問題ないと思います。
また、検査に行くとテストレンズをつけてもらえるそうですが、わずか2時間ぐらいで1度程度視力が向上するそうです。
これを体感してしまったら、後はお金の問題に踏ん切りをつけるだけのような気もします。
日本生まれの技術だけにもっと広まるといいと思います。
オルソケラトロジーのきっかけとなった出来事
●オルソケラトロジーのきっかけとなった出来事
オルソケラトロジー用のコンタクトレンズではなくて、一般の視力矯正コンタクトレンズが開発された時期をご存じでしょうか?
なんと、1940年代だそうです。
ずいぶんと歴史がありますね。
ただ、実際に広く普及し始めたのは、1950年代だそうです。
この頃にコンタクトレンズを使っていた人たちには、ある問題が生じていました。
それは、ハードコンタクトの方ですが、使った後にメガネなどを使用するとかすみ目になるということです。
その原因は、角膜が平坦に変形してしまって、屈折率が変わってしまったことが原因でした。
では、なぜカーブを持つ角膜の表面が平坦になってしまったのか?
それは、当時のハードコンタクトのカーブが、角膜よりもフラットだったからなのです。
これは、わざとそのように作っていたのか、それとも当時の技術の問題かどうかはわかりません。
ただ、結果として本来の角膜の形が長時間ハードコンタクトを使用することで変形することが分かったわけです。
これがオルソケラトロジーという技術が登場するきっかけとなった訳です。
従来のハードコンタクトのように結果的に平坦になったのではなく、オルソケラトロジーは視力の矯正を可能なぐらいに屈折させることを目指しました。
理論的に、可能なことは当時のハードコンタクトレンズの性能が奇しくも示してくれていた訳です。
問題は、その精度だけだった訳ですが、角膜は元にもどりますからトライアンドエラーが可能だったことは言うまでもありません。
レーシックは、一度角膜を削ってしまったら元には戻せませんから失敗が許されません。
それに対して、オルソケラトロジーは何度でも失敗が効きますから開発は気楽だったかもしれませんね。
視力回復のオルソケラトロジー
●視力回復のオルソケラトロジー
視力回復のオルソケラトロジー(Orthokeratology)とは、矯正用のコンタクトレンズを用いて、弾力のある角膜を一時的に凹カーブに変形させ視力回復を行う治療です。
これは、角膜に弾力があることを利用した治療方法です。
そのため、角膜の弾力性の高い子供に特に適します。
使い方としては、寝ている間にこのコンタクトレンズで角膜の形を矯正し、昼間はレンズを外して裸眼で過ごすというものです。
就寝時に装着したコンタクトレンズには角膜表面に凹カーブを描くような形になっており、起床する頃にはカーブが完成している訳です。
仕組みとしては、レーシック手術が角膜をレーザーで削って、凹カーブを生成し、光りの屈折率を変えるのと全く同じです。
ただ、あくまで一時的な変形ですので毎晩コンタクトレンズを装着して寝る必要があります。
最大のメリットは、角膜を削らないでも視力が矯正できることです。
コンタクトの使用をやめれば角膜は元の状態に戻ります。
この視力回復の治療方法は、アメリカでは何十年もの実績がありますが、日本ではレーシックが先行しています。
これは、眼科医の都合の問題であってどちらが技術的に優位という話ではないでしょう。
この治療法は、もともとハードコンタクトレンズを外した患者がメガネをかけるとかすみ目を感じることからヒントを得たそうです。
昔のハードコンタクトは、トップの部分が平坦であったため、角膜が変形してそのような見え方を一時的にしていたのです。
そこで、これを光りが屈折するぐらいに変形させるとどうなるのかというコンセプトで始まったのがオルソケラトロジーという視力回復の治療法なのです。